相談の事例
事例A
親類から相続を受けた、約20坪・築50年程度の使用出来そうもない木造住宅が空き家となっている。道も狭くどうすれば良いのか全くわからない。
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① 現地調査の結果、相当な老朽建物であり、南側前面道路に向け倒壊する可能性が大きい建物であった。
② 修繕・改修しても貸したり売買したり出来るレベルの劣化では無かった。
③ 上記条件から、市行政に解体除却補助の申請を行い、交付決定され解体に踏み切った。自己負担金額は、解体費用の20%で済み、とても助かった。
④ 解体後、不動産事業所との相談にて、350万円程度で売買し、小さな分譲に活用するとの解決となった。
事例Aの解決ヒント
道は狭いが利便性の良い地域だったため、防災上の危険度がある場合は、まず解体ありきで進む。駐車場などの利用可能性が無い条件の場合、思い切って売買にて処分する方が今後予測されるリスクよりも負担が軽くなるケースが多いと思われる。相談窓口にて思うことをきちんと相談して解決すると良い。
事例B
過疎の村にある実家が空き家となっている。めったに帰ることが無いし、地域には、既に親類もあまり居なくなっている。処分するにも売れる条件では無い。しかし、毎月管理費用を払ってまで維持するのは困難である。
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① 現地調査と現地自治会へのヒアリングを実施
② 少し手を入れる程度で活用も可能な状態であった。
③ 大きな土間があったり、庭も広く駐車スペースとしても十分な広さがあった。
④ 地域自治会が、そば打ち体験施設や、地域でのちょっとした加工場として活用する代わりに可能な管理と賃料を相殺する形で使用できないかとの申し入れがあり、双方が承諾し、活用が始まった。
事例Bの解決ヒント
所有者本人から言い出せない相談を、相談窓口が間に入って実施することで、地域自治会や行政との調整による解決をみた例である。過疎化の進んだ地域では、不動産としての価値は無いに等しく、またそれを扱う事業者も居ない状況がほとんどと言える。管理も含めて、地域のコミュニティを活用した解決策を検討することで、たまに帰った場合にも安心して地域に溶け込める関係としての空き家対策をお勧めします。
事例C
田舎で母が一人生活している。隣に都会に出て空き家となった家がある。可能ならば貸してもらえれば、母にも気兼ねなく見守ることも出来るのですが。ただ、耐震性や荷物などのことで無理も言えないし、どこに相談すれば良いか困っている。
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① 現地外観からの調査を実施。役場、自治会へのヒアリングから耐震性不足は間違いないと判断。
② 親類の方にお願いして所有者への連絡を試みる。建物の今後に関してのヒアリング等も実施。
③ 何年に1回かではあるが、帰った時に泊まる処が無いと困る。との思いが最大の問題点と分かる。
④ 近隣には、農家民泊を営む家が多いことから、帰った時の宿泊に活用することはどうかとの解決提案を持ち出す。また、荷物に関しては、数ある部屋の内、一つを所有者専用荷物置き場として、借り主もきちんと管理する条件を出す。耐震性の問題は、補助金を活用すると、ほぼ自己負担が不要となることが判り、貸家木造住宅として耐震改修工事の実施を決め、格安の賃料にての賃貸契約が成立した。
事例Cの解決ヒント
空き家問題の解決は、所有者側だけでなく、利活用したい側からの解決パターンも有ることを理解しておくことが重要である。この事例も相談先や方法が全然わからないまま時間が過ぎていたが、相談窓口への相談をきっかけとして約1か月での解決となった事例。
各専門家によるそれぞれ各方面での補助金の活用や、地域サービスを活用した解決方法を提案することで、所有者、利用希望者の最大公約数的な解決策の提案が可能であることの事例となった。